摩天楼オペラ彩雨 公開講義
「音楽とテクノロジー ~原子音と電子音をつなぐ音楽クロニクル~」
2016.7.10(Sun) at 京都情報大学院大学
今年の夏もまた、彩雨先生の講義を受けてきました!
タイトルは同じでありながらも、また違った視点からの歴史を学べたり、昨今の情勢やニュースとの関わりや、彩雨先生の考えをお伺いできたりと、とても学びの深い時間となりました。ありがとうございます。
授業中、しんけんに取ったノートを元に“講義ノート”のような形で公開させていただけたらな、と思います。
雰囲気が伝わると幸いです!
もし、これをご覧いただいた方で、彩雨先生の講義にご興味を持たれた方は、ぜひ次の機会にお越しください!
東京と札幌のサテライトキャンパスでも公開されています。
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授業開始5分前に彩雨先生ご登場。
チャイムがなるまでの間は彩雨先生の雑談タイム。
あやくす「最近ね、ついてないんですよ」
あやくす初っ端から話題はそれですか\(^O^)/
あやくす「昨日パワーポイントを夜の2時までかかって作ってたんだけど、いや遊んでたんだけどね!」
サッカーに行かれてましたね存じております!
あやくす「朝起きたらパソコンが壊れてて。急遽残ってたデータで今やってます。新幹線の中で作ってました。」
その急遽残ってたデータ、がもうキーワードしか載ってないすごくシンプルなぱわぽなんです。
ぱわぽのコピーだけじゃ絶対単位取れないやつ笑
そんなぱわぽでもきちんと充実した講義をされていて、もうほんとにあやくすすごいな~って思いました。
あやくす「このパソコン(VAIOだった)も久々に起動したんだけどさっきも音でなくて。何も見なかった顔で再起動したりするかもしれません笑」
途中、「ウイルスバスターを更新してください!」みたいな警告が出ていてわろた笑
あやくす「最近ほんとついてないんですよ。
良かったことは昨日マリノスが勝ったことくらいしかないです。
何をやってもうまくいかないときは、おとなしくしているに限ります!
ここでの初講義の時も新幹線が止まったんですよ!新横浜で酔っぱらった人が新幹線の上に乗って感電して!
でも、大事なことはそういうことがあった時に何をするか。そういう時に人間力は試されます」
あやくすの哲学が出ましたが講義本番はここからです。
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☆音楽⇔テクノロジー
あやくすがこの講義でいちばん伝えたいことは、音楽とテクノロジーがどのように関係しあって、どのように未来につながっていくか?ということ。
音楽とは何か?
生活には音楽が溢れている。
例えば、スピーカーから流れる音楽、iPhoneから流れる音楽。
でも、それだけじゃなく環境に溶け込んでいる音楽がたくさんある。
(1)他分野の作品
テレビやゲームのBGMとしての音楽
(2)環境
お店(カフェ、居酒屋)でのBGM
昔から「木を隠すのは森の中」という言葉があるように、雑音をBGMで消している。
あやくす「中学受験したんですけど、通っていた塾でクラシックが流れていたんですよ。
心地よい音楽が流れていると、無音よりも集中が増すらしいです」
(3)神事
宗教行事には音楽が流れている
(4)記号
記号としての音楽。
例えば信号。信号の音は目が見えない人に知らせるために鳴る。
国土交通省の人が「この曲を聴いてくれ!」って聴かせているわけではない。
“歩いてよい”という記号としての音楽。
他には着信音など。
♪音楽は毎日意図せずとも聴いてしまうもの。
音楽とは何か?の大前提
⇒ロックを奏でる鳥はいない ということ。
音楽とは、人間が作った人工物である。
絵や彫刻に比べてもその歴史は浅い。
音には偶然の要素が意外と少ない。
音楽・テクノロジーとは何か?
人間の歴史とは、テクノロジーの歴史である。
そして、テクノロジーの歴史とは、音楽の歴史でもある。
テクノロジーの未来、音楽の未来があわさって生活の未来を作っている。
音楽の定義
音楽とは何か?
(1)辞書による音楽
音による芸術
(2)西洋音楽における音楽の3要素
①リズム(何分の何拍子か)
②ハーモニー(2つ以上の音が合わさること。ハモる)
③メロディー(言葉で説明するの難しいけど…メロディーですね!)
でも…
例えばドラムソロはリズムしかないけど、音楽だと思う。
あやくす「カナダに行った時に、和太鼓のパフォーマンスをされる方と一緒だったんです。和太鼓はリズムしかないけれど、あれも音楽だと思う」
音楽とは定義づけるものがとても難しい。
音楽ってなんだろう?
ex.大自然のアマゾン。
鳥がピヨピヨ鳴いてたり、雨がシャーーーって降ってきたりするんですよ。
あやくす「アマゾン行ったことないけど!笑
僕にとっては、アマゾンの音も音楽。
でもほかの人にとって音楽なのかというと、難しい。」
音楽とは何か?
これを決めるのはとても難しいこと。
ボエティウスという人が書いた本に、こんな記述がある。
「音楽提要」ボエティウス(485~524)
①ムジカ・マンダーナ(宇宙の音楽)⇒宇宙全体の調和
②ムジカ・フマーナ(人間の音楽)⇒肉体と魂の調和
③ムジカ・インストゥルメンターリス(器具の音楽)⇒実際に鳴り響く音楽
あやくす「でもこれは難しいからおいといて、のだめカンタービレの中にすごくわかりやすい一説がある!」
次のスライドはのだめのページの抜粋。
千秋先輩が語る音楽、それは「調和」。
1500年前は、神の作った世界の調和を知るための学問が、天文学幾何学数論、そして音楽であった。
音楽によって世界の調和を図る。
ex.アマゾン
アマゾンの音は調和がとれていると言われている。
アマゾンの音もまた、調和をとろうとしている音楽かもしれない。
音楽と非音楽
音楽と非音楽の違いを考えるよりも、「音楽でないもの」を考えた方がわかりやすい。
音楽じゃないもの=騒音。
心地よいか、よくないか。
その境目はとても難しい。
cf.あやくすは国道沿いに住んでいるため車がうるさい時もあるけれど、車が好きな人はその音が好きで改造している
cf2.エレキギターやドラムの音も、ライブハウスの音が雑音に聞こえる人もいる。
でも、それにお金を払って来てくれている人もいる。
⇒騒音か、そうでないかの境目は人によるところが大きい。
cf3.風鈴の音。マツコでやってた。
最近あやくすのマンションの掲示板に
「風鈴がうるさいです」という張り紙が貼られた。
風鈴の音はなぜ鳴るのかというと、風が吹いてガラスに鈴が当たるから。
つまり、風鈴が鳴っていると絶対に風が吹いている。
風が吹いているということは、涼しいはず!という気持ちになるから、人は風鈴の音を聴くと涼しいに決まっていると脳が解釈する。
あやくす「だから夏にクリスマスソングを聴くと涼しくなる!マライア・キャリーとか聞いてみたらいいよ!
TUBE聴くと暑くなる!」
あやくす「前の講義で話したんだけど、かき氷の写真を3つ見せて。赤と黄色と青と。どれがイチゴ味?って聞いたらみんな『赤がイチゴ』って言う。
でも、実は写真のかき氷はみんなイチゴ味。
赤と言えばイチゴ!そういうイメージで食べているからイチゴ味になる」
ではなぜ、風鈴の音を心地よいと感じる人と騒音に感じる人が生まれるのだろう。
⇒暮らしていくうえで「音楽」と「非音楽」に線引きをつける必要性が出てきたから。
現代社会は騒音を徹底的になくそうとしている。
ex.1974年8月28日(←あやくすの誕生日)
神奈川県平塚市で、「ピアノの音がうるさい」と近所の人に子ども2人と母親が殺害される事件が起きた。
騒音を原因にして起きた初の殺人事件であり、その後マンションの壁を厚くしたり、ピアノに消音機能がついたりと、大きな影響を与えた。
この事件により、人々は“騒音”の存在に気付いてしまった。
cf.肩こりがない人=肩こりを知らない人
今までその存在に気付いていなかったから、問題にならなかった。
しかしこの事件をきっかけに、1976年に鳥取東京で、1977年1981年にも同様の事件が相次ぐ。
なぜ?
⇒人々が“騒音”に気付いてしまったから。
環境と音
これから考えないといけないトピックのひとつ。
今:騒音を出さないようにするという方向が先行している。
ex.防音室、ノイズキャンセリング、音漏れ防止機能
⇒しかしそれにも限界がある。
未来:騒音は本当に騒音なのか?を考えていく必要性
あやくす「どれだけ“音”が生活を豊かにするように変えられるかを考える必要がある。
音楽家も建築家も政治家も、みんながそういう風に考える時代が来るのではないか。」
音楽と環境
◇エリック・サティ(1866年生)
“環境”をよく考える音楽家であった。
そんな彼が作曲したのは“家具の音楽”
家具のように環境に馴染むような音楽を目指した。
当時はスピーカーやシンセサイザーがない時代。
音楽と言えば生演奏。
彼は「演奏するけど聴かないで」というコンセプトのもと演奏を行ったが、みんな聴いてしまって挑戦は失敗に終わった。
◇ジョン・ケージ「4分33秒」
環境音楽というジャンルが生まれる。
この曲は4分33秒全部全休符(!)で構成された楽曲。
講義では実際に演奏(?)している動画を観ました。チューニングするしオーケストラ揃ってるのに無音(笑)
指揮者はストップウォッチを持っていて、ストップウォッチで4分33秒を測っている笑
あやくす「これで著作権を取っているらしいんだよね笑
ピアノ版もあるらしいから、今度やるかも笑」
絶対笑うよそんなん笑
あやくす「ジョン・ケージも本気でやっているのではなくて、きっと“普段聞かない音に耳を澄ませよう”という問題提起なのだと思う」
音階という大発明
音楽とは人工物である。よってその発展にはテクノロジーの進歩が深くかかわっている。
ピタゴラス音律
音楽史に残る大発明である。
音自体は人工物でもない。ただ、音の中にも調和のとれた音、とれない音がある。
ピタゴラス音律は「オクターブ」の概念を見つけると共に、「5度」の開きのある音が調和のとれた和音となることを発見した。
「音」とは12個しかないのではないか?
これらの調和のとれる音たちを低い順に並び替えるとA~Fとなり、この発見が音楽が大きく進歩するきっかけとなった。
あやくす「昔の人は絶対キタコレ!って思ったと思うんだよね。
僕もいくつかのアイデアがつながった時の快感が忘れられません」
あやくす「そのあと色んな地方でそれぞれい音楽が発展していくんだけど、この12個の音でそれぞれ発見していくのがおもしろい。
気持ちいいと思う音は世界共通」
◎ピタゴラス音律の欠点
3度の和音が苦手。
ドソの和音はきれいに鳴るけれど、ドミソになると音が濁る。
実際にPCのソフトでピタゴラス音律のドミソを聴く。
あやくす「高速でわんわん言ってる」
純正律
そこで生まれたのが純正律。
しかしながら、これも変な転調をするとハモれなくなるという欠点が。
複雑な音は対応しきれない。
平均律
そこでさらに発展して生まれたのが平均律。
普段耳にする音楽の中で、平均律ではない音楽はないのではないか。
現代の音楽はほぼすべて平均律で作られている。
ピタゴラス音律と比べ、周波数を少しずらすことで、どんな複雑な転調でも奇麗に響くように作られている。
◎現代:平均律に順応してしまっている
⇒平均律に飽きてしまったら、歴史はまた変わるかもしれない。
あやくす「僕は正直違いがわかんないです。だから、僕にはこの壁はこえられないかもしれない」
◎音が12個
あやくす「12個でないといけないきまりはない。12個で分けると便利だから、分けている。17個とか22個とかの音も研究している人がいる。
音が12個である、という前提も、発展途上」
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~もうすぐチャイムが鳴りそうなのであやくすの余談コーナー~
あやくす「ついてる、ついてないって人それぞれだと思うんだよね」
(´;ω;`)あやくすのついてない話続く。。
あやくす「今日もPCこわれた。しぬ。って思ったけど」
笑
あやくす「みんなの周りにもいると思うけどさ、しにたい病の人いるよね。朝起きたつらい。しぬ。みたいな。
そういうのって、“しあわせの遺伝子”があるかどうかだと思うんだよ。
そういうことが起きたときに、どう思うか?
神様が与えた試練だと思おうと思うんだよ。
今日もPC壊れたってなったら人によっては『京都行きたくない。しぬ』ってなるかもしれないけど。笑」
「しぬ」って連発してるあやくすの言い方がなんかすごい面白かった笑
わたしは、高校生の時の座右の銘であった「全部受け入れて、自ら楽しむ(byAKIHIDE)」を最近全然心で唱えていないな、とこの話を聞きながら思い出していた。だめな気がする。
あやくす「子どもの声がうるさいって保育園を作るのをやめようって問題があるでしょ。
でも子どもの声がうるさいかどうかって、“しあわせの遺伝子”の有無によると思うんだよ。
“しあわせの遺伝子”がない人はなんでも悲劇になっちゃうけど、ある人は子どもかわいいね、車かっこいいね。って思える。
音を良い、悪いに分けてしまう現代社会になってしまったけど、幸せってなんだろう?ってこれからを音を通して考えてみる。」
あやくす「ついてないって思うことも、急成長のスパイスかもしれないし、そういう考え方が21世紀の人間に求められていることなのかもしれない。
だから、割り切れないこともあるけど、きっといいことがあるって信じることが大切」
最後の方、あんさまの姿しか浮かばなくなって悲しすぎてうぅぅ……ってなってしまってノート取るスピード落ちちゃったから、とびとびですいません……。
あんさまのことはついてないどころのさわぎじゃないよね……。
あやくすの講義はほんと素晴らしかったのだけれど、あやくすついてない言い過ぎて心配になりました(´・ω・`)
話が終わったと同時にチャイムが鳴って、教室どよめいた笑
彩雨先生さすがすぎます*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
後編へ続く!