*SAKULIVE*

15歳の夏から続く、with BREAKERZな人生の軌跡。

「夢を叶える人」の未来、「未来を築く人」の夢。

ずっと、わたしは夢を見ていたんだと思う。
それは、「夢を叶える人」でも、「未来を築ける」という夢である。
 
「夢を叶える人」が築く「未来」に、わたしは自分自身の「未来」を託したかった。寄り添う「未来」が存在し続ける人生を願っていた。
でも、現実はそうではなかった。
「夢を叶える人」はやはり、「夢を叶える人」であって、「未来を築く人」ではなかったのだ。
 
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「夢を叶える人」と「未来を築く人」という価値観は、わたしが大学生の時に生まれた。
就職を考えるようになった大学3回生の頃だと思う。
 
それまで当たり前に音楽を聴き、ライブに行き、好きでいたアーティストは、他のすべての可能性を捨てて、音楽の道を「選んだ」ということに気付いた。
素直に凄いなと思った。
わたしにはできない選択だった。
才能の有無とか、実力の有無とか、わたしには楽器が弾けない歌もうまくないとか、人から愛されるカリスマ性とか、彼らにあってわたしにないところはほんと書きつくせないくらいある。
だけど、いちばんの違いは、自身の才能や実力を信じて、この道を「選んだ」というその意思なのだと思った。
 
アーティストへの目線がその頃から変わった。
 
人には2通りの人生の選択があるんだなと感じた。
 
ひとつは、「夢を叶える人」。
他のすべての可能性を捨ててでも、自身の才能や実力に賭ける人。
 
そしてもうひとつは、「未来を築く人」。
安定した可能性を守るために、賭けに出ない人。
 
わたしは言うまでもなく後者である。
わたしのような「未来を築く人」が唯一、夢を見られる時間は就職活動だったのかなと思うけれど、抱いたささやかな夢は最終面接にて打ち砕かれた。
 
だからわたしは今、普通に大学を卒業して、普通に会社で働いている。
ほんとおもんない人生だなぁと思う日もある。
でも、自分の人生で賭けに出るなんて選択は才能も実力も持たない凡人のわたしにはできなかった。
相応の場所にいるのかもしれないな、と思う。
 
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9年間、BREAKERZというバンドのファンとして生きてきた。
BREAKERZのヴォーカルは、日本で知らぬ人はいないであろうDAIGOくんである。
 
彼らは20代で非常に苦労をしてきた人たちで(その頃をリアルタイムでは知らないので知った風に言うのは抵抗があるけれども)、だからこそ、色んな奇跡を巻き込んで立つことのできた今の地位を壊すことはしないと思っている。
バンド名BREAKERZだけど。ぶっ壊すって意味だけど。
 
ソロ活動も乗り越え、昨年には復活後初となるオリジナルアルバムを発売。ツアーも行った。ソロ活動という一見解散フラグを漂わせる選択肢は、BREAKERZ3人の心の色を増す「強み」のひとつとなった。
近頃はDAIGOくんの結婚の件もあり、不安に思える部分も多いけれど、彼らはいつもライブを観ると安心させてくれる。
今まで散々喚いては、ライブを観て「ごめん」って思い続けてきたから、今回はわたしは静かにしていようと思ってる。笑
ひとまず7月23日のライブを観て、そこから考える。
彼らは今の場所に立てているまでの過程とその奇跡の積み重ねを、きっと誰よりもよく知っているから、それを全部ゼロベースにするような決断はしないと思っている。
 
AKIHIDEさんの今年発売されたソロアルバム「ふるさと」には「この時計が止まるまで」という楽曲が収録されている。
この曲を演奏するたびに、AKIHIDEさんは
「この胸の鼓動が止まるまで、僕は音楽を作り続けると約束します」
と宣言してくれていた。
 
「夢を叶える人」であるAKIHIDEさんが、「未来を築く」宣言をしてくださることは、本当に心強かった。
 
BREAKERZは、AKIHIDEさんに限らず、「続けていく」という意思を強く感じるバンド。
おじいちゃんになったときのための「DESTROY CRASHER」とかアコースティックで演奏してたし。笑
 
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振り返ればきちんと素直にこの9年応援していたのはBREAKERZだけで、わたしはいつの間にか、「夢を叶える人」が「未来を築く」姿を見慣れてしまっていたのだと思う。
 
それがいけなかった。
 
「夢を叶える人」「未来を築く人」の価値観に触れたときのことを、もっと早く思い出すべきだった。
「夢を叶える人」は、生きる世界も考え方も、全く違うのだということ。
 
「夢を叶える人」が「未来を築く」というのは、奇跡の積み重ねがあってこそ、生まれるものなのだということ。
 
わたしはそれを忘れていた。
「夢を叶える人」も「未来を築いてくれる」という夢を見ていた。
 
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摩天楼オペラのAnziさんの件があって、あんさまがこの選択をしてしまった時点で、改めてわたしの観ていた夢がおこがましかったんだな、と思う。
「夢を叶える人」が、「未来を築いてくれる」ということを、もはや当たり前のように感じていたわたしが、バカだったのだと思うしかない。
今までの9年間が奇跡だったのだ。
 
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あんさまは本当に、「夢を叶える人」なんだなぁと思う。
 
「意識と信念の違い」
この言葉に集約されるまでの話し合いがどんなだったか、わたしには分かりようもないけれど、「続けてほしい」「ずっと今の5人のままで摩天楼オペラであってほしい」と願うわたしの想いは、きっと4人の気持ちに近いのだと思う。
 
「ずっと続けていく」みたいなことをそのさまも言ってた。
BREAKERZに通じるな、「夢を叶える人」が「未来を築く」言葉だなと思ってた。それが嬉しかったし、このままずっと続いていくんだって信じて疑ってなかった。
地球ツアーの「ether」の前にいつも言ってた、
「希望を歌い続ける」
という言葉も、そういう意味だと受け取ってた。
 
オペラのメンバーは、音楽だけでごはんを食べられていると思う。
だから、「摩天楼オペラ」としての地位を全部捨ててしまうっていうあんさまの選択が、もう、正直、ほんとに分からん。意味分からん。
 
分からんからこそ、あんさまは本当に、「夢を叶える人」なんだなぁと思う。
 
あんさまの件を通じて、ただただ痛感しているのは、差異に対する圧倒的な絶望感と無力感。
 
決まってしまったことは覆らない、ということ以上にそれが寂しい。
 
わたしからしたら本当に意味が分からない、いや本当は分かってる。
分かってるけど、分からない。分からんよ。分かるわけない。
 
だからこそ、「やめる」という決断を「納得」するしかない。
 
「皆正しかった」ってよーさんは言う。
皆正しかったからこそ、あんさまがやめる、という選択しかなかったのだと思う。
頭ではわかっている。理解もしている。でも、心がついていかない。
 
どんな話し合いがなされたのかは永遠にわからない。
 
でも、この決断が「必然」だったのだと思うしかない。
 
あんさまの言葉には突き放され続けていてただただつらいけど、その言葉はいちいち考え尽くした挙句、納得するしかないものばかりで、それがまた悲しい。
 
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音楽人生で一度でも「終わり」を経験したことがある人は、「続ける」という強い意志があるような気がする。
 
AKIHIDEさんが「未来を築いていく」言葉を発してくれるのは、きっとFAIRY FOREを脱退した時のことや、NEVER LANDの時のことがあるからだと思う。
このタイミングで、導かれるように観ることになったAngeloさんのライブ。Angeloさんのライブも、先へと続く未来がすごく観える。
 
あんさまも、次の人生では「ずっと続ける」という強い意志を持ったりするのかな。あんさま相当考え方潔く男前だからわからないけど。
わたしは、「ずっと続ける」場所が摩天楼オペラであってほしかったけど。
 
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今回の発表を受けて最初のあんさまからの言葉は、
「受け止めてください」だった。
 
なんて突き放すんだと思った。
本当にひどいと思った。
 
そう、結局は自分の問題で、自分が受け止めて、乗り越えるしかないんだ。
 
いくらわたしが考え続けても、決断が覆るはずもない。
嘘だと言ってほしいと、きっと7月22日まで思い続けるけれど、
「受け止めてください」
ってあんさまが突き放す通り、これはわたし自身の問題なのだ。
 
5月15日からのあんさまの言葉は、全部納得するしかなくて寂しい。
こんなにも痛みを伴うのに。
 
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6月8日が迫ってきている。
 
ほんとどんな顔して向き合えばいいのかわからない。
 
このことがなければ、摩天楼オペラのライブは、一点の曇りもない光だったのにな。
すごく悲しいよ。